書籍「ラノベのデザイン」を読了したので、感想&簡単に整理。
「ラノベのデザイン」は、実際に販売されている「ライトノベルの表紙」に対して、デザイン面でどのような工夫/アイデアを盛り込んでいるのかのポイントを解説してくれる書籍です。
デザインの本ということが関係あるかはわかりませんが、2020年7月時点では、電子版では出ておらず、物理本しかないようです。
読むきっかけ
先日参加したオンラインイベント「技術書界隈を盛り上げる会 #7」で紹介されていたのがきっかけ。
なお、「技術書界隈を盛り上げる会 #7」に関しては参加レポートを書いています。
参加レポートでは「ラノベのデザイン」については触れていなかったのですが、Togetterまとめを見直していて、大岡さんがTwitterに載せていたのが気になってきたので購入しました。
https://t.co/zHyzQwhJPt#技術書界隈を盛り上げる会
— 大岡由佳『りあクト! 第3版』Booth/Amazonで近日刊行 (@oukayuka) 2020年6月30日
オフライン/オンラインにかかわらず、表紙が目に留まることで初めて手に取ってもらえることは多いとのことです。実際、自分の行動パターンとしても、表紙(に書かれている内容)に興味をもって手に取って、場合によっては購入、というのが多々ありました。
逆説的に言えば、興味をもってもらえることで、頒布にもつながるということ。
知名度が足りない無名/弱小サークルであれば、ここは気にしておくべきポイントでしょう。
書籍構成
「ラノベのデザイン」は以下の3部構成になっています。
『架空のライトノベル』では、架空のラノベの表紙を現役デザイナーさんに作成してもらう内容。ジャンルの違う3種類の架空ラノベの対して、それぞれのラノベ担当のデザイナーさんが表紙を作成していく過程が説明されている。
『ライトノベルカバーの事例集』では、実際に発売されているラノベの表紙に対して、なぜそのようなデザインにしたかの解説が書かれている。
ジャンルは大きくCute/Pop/Stylish/Natural /Mysteriousの5種類。なお、対象になっているラノベは2018年までに刊行されたもの。
『無料で使えるフォント集』では、フリーのフォント集が紹介されている。
分類は、角ゴシック体/丸ゴシック体/明朝体/ポップ/手書き風/その他と6種類に分けて紹介されている。対応文字やURLも記載されている。
それぞれについて、面白い/自分も使ってみたい、と思った点を挙げます。
架空のライトノベル
この章で気になったのは以下の点。
- 帯のサイズの確認:帯自体のサイズの確認に加え、帯に隠されていない部分でのイラストや文字などの情報量についての考慮。
- 特定のマークを入れる:このマークが入っている=あの作品だ!と認識できるようにするために、特定のマークを入れる。これは、記号化させてイメージしやすくさせる狙いがあるとのこと。
- 帯の文字はカバーよりも重要:ラノベをはじめとした文庫サイズの書籍では、シュリンク(ビニールで包まれたラッピング)されているので中身が見れません。そのため、帯に書いてある文字(文章)で買うかどうかの判断材料になります。技術同人誌の場合、ラノベなどのように別紙で帯が巻かれているのではなく表紙と合体していますが、それでも帯に「煽り文」や「XXX部も売れた」などの文字が書いてあれば、ついつい気になって手に取ってしまう効果も期待できそうです。
- 帯の文字はキャラクターが喋っているかのように:表紙のキャラが喋っているかのように見せる手法。セリフ(キャッチの文)をカギ括弧で括る工夫。前述の「帯の文字は〜」とあわせると効果的である。
ライトノベルカバーの事例集
約70弱におよぶラノベの表紙のデザインについて書かれているが、その中で自分が気になった/真似してみようと思ったラノベタイトルとその手法を簡単にピックアップ。*1
りゅうおうのおしごと!:タイトル周辺に竜を組み合わせる
ほま高登山部ダイアリー:ロゴをスタンプ風に加工する
アサルトリリィ:キャラクターの名前を飾りとして入れる
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。:バックにも違う書体でタイトルを入れる
キモいマン:シルエットをロゴに組み込む(「イ」のところにキャラクタロゴ)
神様SHOPでチートの香り:イラストの加工(本イラストに古紙テクスチャ加工)
秋葉原ダンジョン冒険奇譚:タイトル内をダンジョンに見立てる(タイトル文字のなかにダンジョンのイラストがある)
Slave Money:作品情報が詰まった帯(帯が表紙の2/3近く占める)
このセカイで私だけが歌っている:世界観を表すダメージ加工(細めの書体をさらに細くしてダメージ加工もすることで荒廃感を出す)
無料で使えるフォント集
それぞれのフォント種類の中で、自分が使ってみたいなぁと思ったフォントを紹介。
角ゴシック体:
ざっくりゴシック: https://nippori30.com/#fonts
丸ゴシック体:
コーポレート・ロゴ:https://logotype.jp/font-corpmaru.html
明朝体:
刻明朝:http://freefonts.jp/font-koku-min.html
ポップ:
きんいろサンセリフ:http://getsuren.com/kiniro_series.html
手書き風:
あんずもじ:http://www8.plala.or.jp/p_dolce/
その他:
k8x12:https://littlelimit.net/k8x12.htm
まとめ
本の内容は単純に面白かったですし、上記のように使ってみたいデザイン手法というのがいくつかありました。
自分自身がデザインするかは不明ですが、表紙作成の依頼をする際には「こんなデザインイメージで」と伝えるのに役立てていこうと考えています。