みずりゅの自由帳

主に参加したイベントやソフトウェア技術/開発について記録しています

「エンジニアとして食っていく方法」に参加してきたので内容をまとめてみる。

2018年10月31日、TECH PLAYさんの「エンジニアとして食っていく方法」というイベントに参加してきました。簡単に話の内容をまとめておきます。

主催が「TECH PLAY Academy」さんと言うことで、主にWebエンジニアを目指す人をターゲットになってはいますが、本質的なところはエンジニア全般に言えることかな、と受け取っています。

 

techplay.jp

 

 

 

活躍するエンジニアの条件:及川卓也さん

 

  • 2020年から日本で小学生に対してプログラム教育必修となるが、教えるのは「プログラミング的思考」を取り入れること。全ての教科が対象。
  • 一方、米国では、code.orgが米国全土の小中学校の生徒/先生に対してプログラムを教えている。
  • code.orgはなぜ教えるのか?。それは、社会的格差をなくすと考えられているため。つまり、貧困の連鎖からの脱出。google創始者の一人も、プログラミングを学んだことで貧困から脱出できた。
  • プログラムを学ぶとなぜ貧困から抜け出せるのか?。それは、高いお金を貰える様になるから。職業別の給与レンジはプログラマ/エンジニアは高い。
  • エンジニアにお金が集まってくる理由。それは、彼ら(エンジニア)がバリューを持っている/生み出せる力を持ってるから
  • ITの今昔。昔は省力化など既存の人間のやることの置き換えで考えられていた。一方、現在はITがないと生み出せないようなものが出てきている。つまり、デジタルトランスメーションが発生している。
  • ITをうまく取り入れたのはAmazonAmazonの実態は本屋や流通業。しかし、ITを活用/駆使したことにより、今の姿となっている。今になって日本の企業もやっと気づいた。ITは特殊なものではなく、普通の企業でも取り入れて活用していくもの。
  • これまでは「開発」と「運用」は、リリースを境に分けられていた。リリースが終われば開発の人は解散し、運用の人は「ただ画面を見ているだけ」な業務になりがちだった。これでは、改善のテンポは遅い。
  • 一方で、スタートアップなどでは、開発と運用を継続して行っていく。それは運用で得られた知見をシステムへフィードバックできるからGoogleでは、リリースしてから本番。運用の結果をすぐに反映させる。つまりはDevOps。
  • 今の日本企業に求められているもの。開発者も企画を考えるし、企画者も開発のをことを考えるといった姿勢。
  • 学習ループが大事。学習-> 知識-> 技能にする。そしてまた、学習していく。知識を技能に昇華していくには、実際に手を動かして「使う」ことが大事。「体験/経験」が必要である。
  • 「経験者求む」の求人に対して、みせるべきは経験ではなくて技能である。単に「何年やってた」は大事ではない。技能から派生する応用力をみせる。

 

及川さんの講演を聞くのは2回目。1回目は2018年3月の「MANABIYA」の時だったが、その時の講演でも同じようなテーマで話されており、「学習ループ」の話も出ていた。MANABIYAで「学習ループ」の話を聞いてから、意識して手を動かす/経験(体験)するといった事を実施するようにはしていったなぁ。

 

美容師からエンジニアへの転身:許 直人さん

 

  • プログラミングで貧困を脱出した話。
  • 父親が蒸発。当時、母親が美容師だったし勉強も嫌いだったので、生きていくために美容師になる。美容室でエースになるも年収240万。貧しさから脱出するためにプログラマを目指した。
  • IT企業に履歴書を送るも「美容師」の肩書きでは即書類審査で落とされた。そのため、美容師っぽくない企業の名前で送った。そして運良く転職できた。しかし未経験だったので給与は低く、月給10万程度。そのため再び転職。
  • 2社目で「師匠」と呼べるような先輩に会えた。先輩プログラマに色々と教えてもらう。その後、書籍を読む、インターネットから情報を得て勉強していく、オープンソースから学んでいくといった学習をしていった。インターネットとオープンソースは初期費用が低くて学べるので最高
  • プログラムは同じインプットを入れれば同じアウトプットが出てくるのが良い。
  • 2社目(27歳)退職時には、年収は400万程度になっていた。
  • 3社目はSIerに転職。SIerの仕事は「ぬるい」ため、空いた時間で勉強していた。
  • チームで開発する場合、一人がすごく頑張るよりも、チーム全員が5%だけ頑張る方が効果があった。
  • エンジニアは、年収600万の壁がある。
  • 学んだこと。スキルと給与は比例する。仕事の一部を「技術への投資」に回し、「学ぶ仕事」を入れる。
  • 自分の市場価値を定期的にチェックするのが良い。勉強会への参加やエージェントに会って情報交換。また、自らを競争に晒すのも良い。
  • 上場企業の40代などは、周りを見る機会が少ないので、意外とヤバイ状況になっている場合も多い。
  • 自分の置かれた環境を憂うより、自分が変わった方が早い。会社に提案するも良し、行動する/自ら取りに行く、といった事しよう。
  • 好きこそものの上手なれ。興味があって、やりたいことをやる方が良い。やりたくないことをやってイヤイヤしてるくらいなら、自分の感じる方に飛び込むと良い。

特殊な経歴を歩んだ許直人さん。1社目の頃は月収10万程度。一日の食事をメンチカツ2個で過ごしたり、定期代を節約するために長距離を歩くといった事もしていたらしい。
とはいえ、学習方針は参考にはなる。ハングリー精神の大きさは真似はできないが、多少のハングリー精神を持ってインプット/アウトプットしていきたいと思った。

 

TECH PLAY Academyの紹介:片岡秀夫さん

 

  • 現在、エンジニアは圧倒的に不足。2030年ではさらに不足していると予想。
  • HackReactorとの提携して、カリキュラム(ブートキャンプ)を行う。
  • 仕事しながら勉強できる。ただ、夜や週末を利用するので、まぁまぁ大変。
  • 方向性としては、今の年収から50-100万のアップを目指す。
  • コミュニティ/仲間づくりとしても活用は可能
  • 過去受講者には、「テニスベア」というサイトを作った方もいる。
  • ミニアプリ(マインスイーパー、モグラ叩き)の制作を、ライブコーディングしながら実施するカリキュラムもある。その後、メンターと話をして今後作りたいアプリを作っていく。

「TECH PLAY Academy」さんのURLはこちらですね。残念ながら現時点での自分には入校するだけの想いは出てきませんが、内容は魅力的に見えます。それこそ、許直人さんのように、自分の人生を根底から変えてやろう、と考えらているような人には向いているのかもしれませんね。ただし、選考があったり勉強会への参加も必要だったりするようです。

 

techplay.jp

 

パネルディスカッション

パネリストに及川卓也さんと許直人さん、モデレーターとして片岡さん。題材を「Webエンジニアの魅力」として、パネルディスカッションを実施。

 

  • Webエンジニアは、色々な技能や情報を知っておく必要がある。
  • スキルの「T字」のTの横棒部分を太く、長くしていきましょう。
  • スマホアプリは、最悪スマホ単体のスキルで閉じてしまう。一方、Webアプリケーションは、様々な技術(フロント、バックエンド、インフラなど)の技術が求められる事が多い。また、汎用的な技術が集まっている。
  • Webはレバレッジが効く。レンタルサーバなどの初期コストも今は安い。また、参入障壁が低いのも魅力。市場が低い部分とかを狙うのも良い。一方、話題のIoTは参入障壁は意外と高い。
  • JavaScriptは進化している。これ知っているだけで応用が効く。サーバサイドでもnode.jsがある。当面は、JavaScriptを知っているだけでも有利。
  • 内的要因と外的要因。内的は「やりたいこと」、外的は「給料、出世」など。
  • やりたい事ができたら、宣言をして追い込む。逃げ道を塞ぐ。
  • 成長を止めたら死ぬ、という考え。この時間を使って勉強をしなければ、と思えば勉強できる。危機感が必要
  • 貧しさから逃げたい」という気持ちは強い。ハングリー精神にも繋がる。お金が満たされていくとハングリー精神は失われていく。だから、あえて自分を「そういう状況」に追い込むのも手である。
  • 年齢が高ければ高いほどチャレンジはリスクが高い。一人だと大丈夫だが、家族を持つと厳しい。リスクを持つには年齢が早い方が良い。
  • 及川さんも自分を追い込んでいた。当時、英語ができないのにマイクロソフトに行ったのも、自分を追い込むため。
  • サービスを売りにしているWebはマネタイズを考えないといけない。
  • 三日坊主という言葉あるが。つまり、決意の持続時間は3日程度。決意がある間に「せざるを得ない環境」を作ってしまう。
  • * 既存の環境とインターネットがくっつくと、お金が集まる。
  • どうやって、学んでいくか。やらざるを得ない状況にする。それこそ、PMしかり、営業しかり。新規事業を始めると、いろいろやらないといけない。
  • 全ての根底にあるのは怒り。ただし、年をとると弱まってしまう。IT業界に対してのでっかい怒りなどは持続しがち。火事場のクソ力も大事。
  • アウトプットから考える。例えば、ワードプレスを1週間で立てる、勉強会でLTを申し込む、など。LTは申し込んでから内容を考えて良い。
  • 呼吸法は、吐いて、吸う。つまり、最初に来るのはアウトプット。アウトプットするために、インプットを常にしていく。インプットをしないと、すぐにアウトプットするものは底をついてしまう。
  • *企業などでも、「PR(プレスリリース)ドリブン」を実施している。要は「ケツ決めドリブン」で、そうやって自分達を追い込んでいる。ただし、できればエンドは自分たちで決めたい。
  • 締切は、自分(達)で決めよう誰かの決めた期限に対してだと、やる気が出ない。デスマになりがちである。

参加者から質問
  1. 質問話は参考になるが、生存バイアスのようにも聴こえる。
    回答今時点では「N=2」なので、今時点では体系だってはいない。研究課題として、色々な人に聞いてみて欲しい。
  2. 質問プログラム等でわからないことが出てきた場合、どうしていけば良いか。
    回答公式ドキュメントをひたすら読む、ソースを読む、フォーラムで聞く、がある。なるべく「公式に近いところ」の情報を参考にする。また、インラインデバッグなどもおすすめ。追っかけるのは楽しいが、時間が溶けるので、「これ以上時間をかけない」などの制限を設けたほうが良い。
  3. 質問エンジニアには、様々なキャリアパスがあると思う。中には、技術じゃない方(例えば、Engineering Manager など)で食っていくにはどうすれば良いか。また、その場合には、ベースとなる技術はどういうのがいいのか?
    回答エンジニアとして優れている人間の数が多くなるから、一つが突き抜けているよりも、複数のスキルによる「面」で勝負したい。また、 技術が好きかどうかは大事。腐った業界では、線引きと収支計算だけする人がいるがこれはダメ。
    例えば、Appleの新作発表に心が踊るか、どんな違いがあるか、などを考える。技術が好きならエンジニアと同じ言葉で話すことができる。そうすれば、エンジニアの信頼を得られる。
    また、職業エンジニアは良くない。残念ながら、趣味でプログラミングで実施していたり、週末にプログラミングの勉強すると、変態扱いされてしまう。
    そういう環境を作り出してしまうSIerは、エンジニアの地位を下げている。
    エンジニアには「ものを作るのが好きな人」が向いている。WEBの企業の中には、「趣味でプログラムをしているところが評価される」企業もある。

 

最初の質問は、自分がしました。一番前の席にも座っているんだし、色々と「踏み出す」ためにも質問もしてみようと思い、常々思っていることを聴いてみました。ただし、うまく伝えられなかったのか、回答して頂いた直人さんには、「何が聞きたいのかちょっとわからない」とも最初に言われました。そこは反省。

また、結局のところは、彼らや周りのすごい人と同じような事をしても、彼らと同じにはきっとなれないな、と考えてしまう自分を打破したかったんだろうなと今は思っています。逃げ道を用意したかったのかなと。

場合によってはもちろん逃げ道はあったほうが良いでしょうが、それでも今は過去の自分よりは前に進める/成長できると信じて、呼吸をするようにアウトプットをしていけるようになりたいな、と思いながら帰路につきました。

このブログも「アウトプット」の一環として、自分の糧にするために書いてます。