自分が大変お世話になっている技術同人誌のサークル「親方Project」さんが、技術同人誌を底本とした商業誌を出版されました。*1
まずはお祝いの言葉を贈りたいです。
おめでとうございます。
出版された商業誌のタイトルは、「エンジニアのための見積もり実践入門」です。
なお、底本となった技術同人誌は「ワンストップ見積もり」です。
こちらの本は、イベントのたびに良い売り上げを出されるとのこと。
確かに「見積もり」にはみなさん苦労させられますもんね。欲しくなりますよ。
ちなみに、ワンストップ見積もりには、付録B「私の見積もり履歴書」へ自分の見積もり経験を寄稿しています。自分が"執筆側"として技術同人誌の世界に携わった最初の本でもあるので、かなり感慨深いです。*2
ワンストップ見積もりは、BOOTH以外でも"技術書典のオンラインマーケット"でも購入が可能ですね。
techbookfest.org
技術同人誌の商業化に思うこと
本記事を書こうと思ったきっかけは、こちらの記事。
自分も、技術同人誌を底本としてインプレスR&Dさんの技術の泉シリーズから商業化して出版しています。
その時のことは軽く以前のブログで触れています。
ですが、親方氏のnote記事にもあるように、商業化のメリット/デメリットなどの点を改めて考えてみようかな、と思いました。
一般論というよりも、自分の考えを整理する意味で書いています。
商業化のきっかけ
自分の場合は、「技術同人誌再販Nigh」というイベントがきっかけでした。
techbook-and-ethanol.connpass.com
サークル主として、余った在庫を少しでも頒布しようと参加していたのですが、その際にインプレスR&D社の方にお声がけいただきました。
イベントの会場で隣のサークルの方がインプレス社の方から声掛けされているのをみてて、「(あぁ。売れている本はやっぱり違うなぁ。ごめんよマイ同人誌。売れる本に仕立て上げてあげられなくて)」とかぼんやり考えていた際に、自分にも商業化の話を持ちかけられて驚いた記憶があります。
とはいえ、『技術の泉シリーズにElixir本がまだなかったから』というのがきっかけではありました。そういった意味では、技術書典の技術同人誌として競合が少なかったElixir本を出していたのは、自分にとってかなり幸運なことだったのでしょう。
メリット/デメリット
まずはメリット。
- 「商業化した実績」を得られる
- 自尊心を満たせる(出版社に、販売するメリットがある、と思わせることができた)
- 箔付けになる(ステータスになる)/商業誌の著者と名乗れる
- 印税が入る(売れれば)
そして、デメリット。
- 契約書に目を通すの大変。*3
- 自分だけの本じゃなくなる(※ここは出版社さんというか、契約次第でしょうかね。技術の泉シリーズの契約では、同人誌版の併売も可でした。)
- たいして印税は入らない(売れないと)
- 簡単に訂正できないので、内容が古くなっても修正できない*4
うわぁ、親方氏の記事に比べたら、薄っぺら(笑)
...とは言うものの、実際こんなくらいしか、思いつかなかったし。
で、なんでこんな薄いんだって考えた際に、実は自分のいた環境が恵まれていたんだなぁってのに至りました。
自分は、親方氏をはじめ技術同人誌の仲間の方々から、技術の泉シリーズで出版されていた話を色々と聞いていました。なので、割と最初から技術の泉シリーズを信頼できていたってのはあるのかな、と。もちろん、契約書にはちゃんと頑張って目を通しましたが。
結局のところ、商業化してどうだった?
ステータスというか箔付けとして、「商業誌著者」を得られています。
これは売れていようが売れていまいが、商業誌を出している、という点では事実です。なので事実として表に出しています。
書籍の内容が伴わない/売れていないなら、薄っぺらいステータスと言われるかもしれません。ですが、自分はこれを「情報処理試験の資格」と同じような位置付けで考えています。持っていても出来る人間とは限らないが、持っていればよっぽど変なことはしない*5という類のものかと。
また、自分はElixirを普及したい、という想いもありました。そういった意味では、広く人の目に触れる可能性の高い商業化は、ありだと考えました。
Elixirを扱った日本語の商業誌は少ないという事情もありますので、現時点では有名とまではいかなくても、Elixir系コミュニティでお話する際の掴みには使えています。
まとめ
とりとめもなく、考えを書いてみました。
まぁ、いつの日にかどこかの誰かが技術同人誌を書いてみたい/技術同人誌の商業化について悩んでいる、といった際の考慮/判断材料の一つにでもなれば。
あと、同人誌の商業化の話はさておき、「技術同人誌を書く」のは良いと思うのです。
技術同人誌と関わる前、自分はかなり燻っていました。
このままではいけない、とブログを始めたり外部の勉強会に積極的に参加したり、としていました。しかし、それでも、自分は何者なのだろう、感はありました。
サービスやOSSなどのライブラリを作れるレベルであれば、また違ったのでしょう。しかし、エンジニアスキルとしては並の自分には、そこまでには至れませんでした。
しかし、技術同人誌を知りました。合同の技術同人誌に寄稿し、自分の技術同人誌を作って頒布しました。これによって、自分に新たな道が拓けたと感じられました。
勉強する目的も、最終的には技術同人誌のネタにすることができる、と考えるとより意義のあるものに思えてきました。本にするには執筆、すなわちアウトプットが必要になるわけです。だから、ある意味で効果的にインプット/アウトプットを行うことになるわけです。何より、本を作る/作り上げることに達成感を持つことができます。
いいこと尽くしですね、技術同人誌を作るって(笑
そして、今なら言えますもんね。
Q:「自分は何者か?」
A: 「自分は"えりいざ本"の著者です」
なんだ。結局のところ、「技術同人誌はいいぞ」ってことを書きたかっただけかもしれない。
余談
...とか、まとめを書いていたら、技術書典の代表@mhidaka氏がこんなnote記事を出していましたね。
商業化のメリット/デメリット、および契約内容についてよく確認し、著者と出版社の双方が納得した上で出版するようにしようね。そうでないと、何かしらのトラブルになる可能性があるよ、って感じなのかなぁとか思いながら読んでいました。
mhidaka氏は商業誌を出されているし技術書典の代表でもあるので、言葉の重みが違うなぁ、と。ポジショントーク感もなくはないですが...。