みずりゅの自由帳

主に参加したイベントやソフトウェア技術/開発について記録しています

出版記念講演「管理ゼロで成果はあがる」の参加レポート

2019/02/25に、倉貫義人氏の出版された「管理ゼロで成果はあがる」の出版記念講演会に参加してきました。講演の際、倉貫氏は「ただの質疑応答は無意味だから実施しない」と言われていました。「良い事例でした」「勉強になりました」「流石ソニックガーデンさんですね。ウチは〜」にはなって欲しくない、「聞いて終わりにするのではなく実践してほしい。そのために再現性を加味して書いている」と言われていました。

実際にどこまでできるかはわかりませんが、聞いて終わりにしないためにも、聞いた内容の整理と検討/見直しをしてみようと思います。

 

redajp.connpass.com

なお、今更ではありますが、倉貫氏は「納品のない受託開発」で有名な株式会社ソニックガーデンの代表取締役でもあります。

www.sonicgarden.jp

 

 

 

当日の講演資料

「管理ゼロで成果はあがる」のダイジェスト版のような講演資料です。

 

また、ハッシュダグ「 #redajp 」でつぶやきもたくさんありました。すでにtogetterでまとめられてもいます。

なので、講演内容についてはそれらを参考にしてください。

togetter.com

 

 

管理をゼロにすることは目的ではない

自分が読む前にしていた勘違いだったので最初に書いておきます。「管理ゼロで成果はあがる」は、管理をなくすことを目的として書かれた本ではありません。「成果」を求めて試行錯誤し、たどり着いた結果で「管理は不要」になったということです。

そもそも、なぜ「管理」は必要なのか?

それは成果を出すためと考えらています。すなわち、手段です。

しかし、人が増えて組織が大きくなってくると、失敗しない/問題を起こさない等の理由から管理の対応項目が増えてきます。そして、いつしか「手段」であったはずの管理が「目的」となってきてしまいます。そうなってしまった組織は、エンジニアであれば一度は経験されたことはあるのではないでしょうか。

で、目的になってしまった管理はどうなるかというと、社員のモチベーションを下げたり仕事の効率を下げたりして、本来求めるべき「成果」をあげるどころか下げてしまう、という本末転倒な事象を引き起こしてしまいます。

モチベーションが下がった状況下では、クリエイティブに働くことはできません。しかし、圧倒的な成果を出すためには、クリエイティブであることが大切です。

クリエイティブな活動をしていくためにも、この管理項目はなぜ存在しているのか、今も必要なのか、という点を定期的に見直しする(少なくとも、自問自答する)ことを実践していこうと思っています。

 

何を評価するのか

評価についての話は、講演中に頷く回数が多かったです。チームでどんなに成果を出しても「その中で誰を一番評価する?」というのは、言われた記憶もあります。

評価があると「差をつけろ」と言われる。それは、誰かを出世/ボーナスを出すをさせるため。その評価が万人に受け入れられればいいが、どこかしらに不満は出てしまう。優秀な人たちが集まったチームに対してですらそんなことを行うのだから、評価されなかった優秀な人は辞めていってしまう。本当にこれは馬鹿げた話ですよね。

そういった中で、ソニックガーデンさんでは評価をなくし、賞与的なものも一律で分割するようになったそうです。理屈の上では納得です。ただし、自分は経営層ではないので、このような形態をいきなり取ることもできません。

 

なので、どのような観点で考えていけば良いのか、ということを考えてみます。

自分の話で恐縮ですが、現在の自社では売上重視/赤字にならなかったプロジェクトのメンバが評価されている傾向が強いです。もちろん、これも重要なファクターではあります。しかし、技術力を持った人たちを頼りにしているにも関わらずあまり評価をせず、「もっとお金を稼がないとね」な雰囲気/発言が出ていたりします。

これも関係して、技術に興味の強い人たちの離職が目立ってきました。

これは会社が「潰れない選択」をしているように感じ、技術的な観点でワクワクできるようなことに出会えない、と思い始めているからでしょう。自分もまだ離職にまでは至っていませんが、離職の考えは強くなってきています。

しかし、そう考えるなら、方向性としては「現在は体力回復のために蓄えている」「その中でも技術に関心を持っている人は評価する姿勢はある」と経営陣がその姿勢を見せてあげれば良いのかな、と思いました。弊社は月末に月報を提出する文化があるので、その中で言葉を選びつつ、上述の内容を提案してみます。

 

 

仕事と作業

単体で価値を生まないのが作業、作業を合わせて価値を生むのが仕事、と講演の中では定義づけられていました。この定義に従うと、「仕事中」は価値を生み出していない状態でもあるので「仕事をしていない」ということになるようです。

ここについては違和感は持ったままですが、「価値を出す」という点にフォーカスしてこういう考えで進めてみるのも良いのかとは感じました。少なくとも、そのようにして自分の実施している「仕事」が「仕事」と呼べるのかを見直してみるのはアリだと思いました。

ちなみに、成果を出す仕事をするには、仕事を終えられるサイズにタスクを小口化するのが良いそうです。方法はケースバイケースですが、時間で分割するのが取り掛かりやすいとのこと。経験上は、1-2時間程度で終えられるようにするのが、進捗感もを出せるのでオススメとのことでした。

 

雑談と仕事の場所をわけない

実は「管理ゼロで成果はあがる」を読む前から実施していた内容ではありました。とはいえ、特別な考えがあったわけではなく、単に情報発信量が増えないかなぁ、程度の思惑しかなかったのですが。

もっとも、情報発信には心理的なハードル(変なこと書けない、敷居が高い、そもそも情報発信に興味がない)があるとは感じていたので、出来る限りそのハードルを下げるようには行動していました。

自社にはRedmineをベースとした社内ERPを利用しており、業務で利用するプロジェクトや一部のコミュニティでプロジェクトが作られて運用されています。そこに対して、業務にはすぐに直結しないけど、感性を磨いたり、いつもと違った視点をもつことができそうなネット上の記事の紹介を実施していました。これについては、自分一人ではなく、もう一人の社員も実施してくれています。厳密には、その人物がオフラインで教えてくれる情報を「オンラインで情報共有しようぜ」と自分が煽ったのがきっかけです。実施してくれたからには「自分も支援をしなければ」と知った情報をちょこちょこと共有していきました。結果、頻度は少ないものの何人かの社員が同じように情報共有してくれるようになってきています。

それらの情報をみた際には、出来るだけコメント(気になった点、関心した点など)をつけて返信するようにしました。そうすると、同じようにコメントを返してくれる人も出てきました。人は、見られている/役に立っている、と思うと気持ちが良くなる生き物だというのもわかりますね。

雑談した事ない人に相談なんてできない。

ここについては、割と実践できているのかなと思いながら講演を聴いていました。

 

 最後に

私たちも一気に今の働き方になったわけでなく、少しずつ経験し、少しずつ学んだことがあり、少しずつ変えてきて今に至ったのです。

「管理ゼロで成果はあがる」のあとがきに書かれていた一文ですが、自分が一番気に入っている箇所です。講演の中で直接的に話されていたわけではないですが、言葉の端々から類することを言われていると感じていました。

いきなり成果を出したわけではない。現状を見直し、仮説を立てて試し、うまくいけば続けて失敗したらまた見直す。それは、より良い成果を出すために。

これこそ、アジャイルな開発と同じマインドだよなぁ、と。

いかにして成果をあげるか」を常々考えて、時には声に出して周りの人たちと一緒に話し合いをしながら、行動していきたいと思います。